大亀寺

享禄元年（1528年）、池田郡白橿城主・長井左金吾長弘によって、現在地に文殊菩薩を祀った文殊院文殊堂として創建された。
永禄年間、稲葉山に入った織田信長が城下発展のために文殊菩薩を城下へと移し、実質的に廃寺となる。こののち「文殊」の地名のみが残る。なお、このときの文殊菩薩像は常在寺に伝わっている。
享保6年（1721年）、村名の由来を忘れないようにと、照空寺の中興・玄洞文亀和尚が隠居して寺の再興を発願した。和尚は新たに文殊菩薩を安置し、曹洞宗寺院として再興が開始された。この3年後、寺名を松平隼人氏知行の山縣郡洞田村喜左衛門先祖が取立てた大亀寺の名跡を譲り受けたが、享保16年に没してしまい再興はとどこおってしまった。玄洞和尚の意志は弟子の碩淳和尚に引き継がれ、30余年をかけて自ら土を運び石を積み、良田を購入し什具を整えることで再興が成った。
再興当時に建てられたという桜門は、法林寺村中村集落を覆い隠したと伝えられる1本の欅の木で建てられ、その三の枝から作られたと言われる径2尺の木臼が残されている。当時の面影を残すものは本堂と楼門のみで、現在の庫裡等は濃尾震災後に建てられたものである。鐘楼は明治26年に造られ、時の鐘（午前10時）として慕われていたが、昭和17年に金属供出された。平成元年、町内会の人達が発起人となり、旧文殊村の人々の浄財により再鋳され、再び時の鐘（朝6時30分）として甦ることとなった。
文殊菩薩像は本巣町の有形重要文化財に指定され、本堂裏の樅の木（幹廻り4m）も重要文化財に指定されている。
町内には本願寺門徒が多いが、町内の物故者・老友会の法要などは当寺で行われる。除夜の鐘つきにも町内の人たちの手伝いもあり、多くの参詣者でにぎわう。