大慈恩寺

　当寺は、釈迦如来を本尊とする真言宗智山派の寺院で、天平宝子(原文ﾏﾏ)五年（七六一）に、唐の大律師鑑真大和尚が開基したと伝えられる古刹である。
鑑真は、奈良の唐招提寺を創建後、東国を巡錫してこの地を通ったとき、紫雲富める瑞祥と異光を放つ池があったので、慈悲恩賜の方便のために一寺を建立し、奇縁に因み雲富山池光院慈恩寺と号したという。
　その後戦乱等の回禄に遭い寺勢は衰微し幾百年の星霜を経たが、鎌倉時代になって、地元の豪族大須賀氏の加護を受けた真源上人(中興開山)が出て旧跡復興に尽力し、堂塔伽藍を旧観に復した。
室町時代には、暦応四年(一三四一)四月、足利尊氏の弟直義より御教書が下され幕府の勅願寺となり、次いで五月には安国寺利生塔の建立がなされ、さらに明徳二年(一三九一)には後小松天皇より大の一字の勅許を得て、慈恩寺から大慈恩寺と号するようになるなど、下総有数の寺院として全盛を誇った。江戸時代に入ると、大檀越大須賀氏の滅亡もあって、寺域は縮小し諸堂も荒廃して昔日の景観を失ったが、徳川氏より代々朱印地二十石を賜わり、御朱印寺としての格式をもって周辺寺院に重きをなした。当寺が由緒正しい寺歴を有し、地方文化の中心として栄え、精神教化の殿堂であったことは、所蔵する古文書や仏像・書画等によって、明らかである。(後略)
(境内・御由緒書より)