大浜熊野大神社

平治元年（1159）の年末、平治の乱に敗れた源義朝は、東国へ落ちる途中、尾張国野間内海荘の領主長田忠致（おさだただむね）を頼りましたが、平治二年正月三日、湯殿でだまし討ちにされてしまった。忠致の兄親致（ちかむね）は事前にこの計画を弟から打ち明けられたので、その不義を説き、引き止めようとしたが、聞き入れられなかった。応保２年（1162年）親致は自分の身が危険になったので、家屋敷を捨て、夜ひそかに漁船に乗って逃げ、乳母初音の生まれた大浜郷棚尾に隠れ住みました。その親致の子、長田仙千代白正が創建し、初代宮司として奉斎したのが、この大浜熊野大神社です。大浜郷洲崎に漂着した霊木をもって社殿を造営した、というのが公式の由緒ですが、実際のところは、長田親致の古屋敷を取り壊し、その廃材をここまで運搬し、社殿を造営したものと思われます。慶安元年（1648）８月、幕府朱印地３６石６斗を寄進栄治維新に及びました。元文４年（1739）今の社地権現の森に遷座しました。世に下の宮という上は熊野神社で、明治４年６月村社に列格し、同１７年８年郷社に昇格、同２９年８月１０日、熊野大神社を大浜熊野神社と改称しました。大正５年４月１５日、字内に鎮座の無核社琴平神社を本社に合祀しました。